肝疾患の病態成立における類洞壁細胞の関与についての分子生物学的研究
【研究分野】消化器内科学
【研究キーワード】
Kupffer 細胞 / 類洞壁細胞 / エンドトキシン / 酸化ストレス / アセトアルデヒド / ミトコンドリア / Kupffer細胞 / NO / TNFα / NF-kB / 肝疾患 / 接着因子 / カルシウム / NF-κB / アポトーシス
【研究成果の概要】
本研究では各種の実験的肝障害モデルにおいて類洞壁細胞群、特にKupffer細胞からの活性酸素やNOの放出動態と肝細胞障害特に類洞壁細胞の障害、アポトーシスなどを時間的空間的な相関とその制御機構を解明することを目的とした。
ラットKupffer細胞と肝癌細胞を共培養した実験系におい接着因子(CD18/ICAM-1)に依存性にCaの動員があり、それに引き続き肝細胞内において活性酸素の産生がおきることを明らかにした。さらに,癌細胞と共培養したKupffer細胞ではiNOSとiNOSのmRNAの増加を蛍光法を用いて明らかにした。そして、NOの産生に先立ってfluorescence in situ hybridization法により観察したNFkBの活性化とその核内への移動を明らかにした。また、エンドトキシンにより刺激したKupffer細胞と肝細胞を共培養するとKupffer細胞からNOとTNFαが放出され肝細胞におけるミトコンドリア機能が傷害されることを明らかにした。
アルコールによる肝障害では、潅流肝モデルにおいてアルコール投与によりKupffer細胞から肝類洞ヘスーパーオキサイドアニオンが放出され、それが類洞壁細胞の障害をきたしていることを明らかにした。また、Kupffer細胞自身にエタノール代謝能があり、その代謝にはcytochrome P4502E1が関与していることを明らかにした。生体顕微鏡下の観察により慢性的にエタノールを投与したラットにおいてはエンドトキシンによる肝微小循環障害がおきやすいことを明らかにし、その際に白血球の膠着が観察され、接着因子が重要な役割を果たすことを明らかにした。慢性エタノール投与後のラットではGRO/CINC(ラットIL-8)およびTNFの上昇を認め、白血球上にはLFA-1の表出が対照群に比して増強していることを明らかにした。
【研究代表者】