海馬記憶機能を標的とした記憶操作による新規脳疾患治療戦略の確立
【研究分野】神経科学およびその関連分野
【研究キーワード】
記憶忘却 / 神経新生 / 海馬 / トラウマ記憶 / PTSD / 薬物依存症 / 恐怖記憶 / 記憶消去 / 薬物依存 / 精神疾患 / トラウマ / 記憶 / 依存症 / うつ病 / 不安障害
【研究成果の概要】
ストレス体験の記憶が発症の根底にあるうつ症状や、薬物依存の新規改善方法開発を目指して、海馬神経エンハンサーによる記憶忘却効果の有用性を検討した。その結果、海馬神経新生エンハンサーであるメマンチン投与によって、マウス社会的敗北ストレスによるPTSD様症状の改善、また、場所嗜好性課題におけるニコチン依存記憶の忘却が観察された。以上より、ストレス・薬物等体験によるエピソード記憶の忘却誘導による治療法の有効性が示唆された。
【研究の社会的意義】
現在、PTSDや薬物依存症に有効な治療薬はなく、その治療に認知行動療法が用いられているが、その治療は長期間にわたり、患者と医師双方の負担が大きい。本課題で提言した海馬神経新生エンハンサーによる記憶忘却促進法は、神経新生促進剤を服用するだけで、ストレスや薬物記憶を忘却させて症状を軽減するものであり、認知行動療法を必要としない点でメリットが大きい。しかも、忘却を人為的に誘導するとは言え、海馬神経新生は運動によっても促進されるため、ヒトが先天的に備えている記憶忘却能力を用いて、トラウマや薬物記憶を弱めているに過ぎない。従って、本方法により、患者の負担が少なく、体に優しい治療が可能になると考えられる。
【研究代表者】
【研究協力者】 |
石川 理絵 | |
内田 千晶 | |
南 朱夏 | |
長葭 大海 | |
福島 穂高 | |
|
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2017-06-30 - 2019-03-31
【配分額】6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)