国際援助協力による社会経済開発のソーシャルインパクトに関する開発人類学的研究
【研究分野】文化人類学(含民族学・民俗学)
【研究キーワード】
開発政策と概念 / 現地調査 / 基層文化 / 地域共同体 / 文化効率 / リーダーシップ / ソーシャルインパクト / NGO / 奏功性 / 開発とインフラ / 教育開発 / 貧困 / リーダシップ / 女性 / 文化人類学的手法 / 開発政策と理念 / 奏効性
【研究成果の概要】
平成11年度は、調査目標地域における、固有の地域共同体の有無と、文化的固有条件あるいは近代政治的条件に基づく指導者の有無の2点を確認しながら調査地選定と調査方法の検討を実施した。
平成12年度には、前年の選定と検討を踏まえた文化人類学的手法を用いた住民との直接対話による情報収集が実行された。調査に当たり、若干の困難も見られたが、受益者集団の協力も得て、聞き取り調査が進められた。平成13年度は、文化効率の高い開発理論構築、開発援助行政をめぐる諸アクターの共通認識の理論的調整を目指した、研究活動が進められた。
個別内容として、阿部は、国際機関や日本の援助機関によるインドネシアの簡易水供給プロジェクトがもたらした、農村女性の生活変化を分析した、小林は、タイの日系地域開発事業の社会的影響につき、恩恵にあずからない住民の評価を明らかにした。カンボジアの地方議会選挙を舞台とした、開発援助資金の流れを調査した西村は、開発援助行政と国内政治との関係を明らかにした。伊藤は、セマウル運動以後の韓国における住民主導による地域活性化の動きに焦点を置き、特に住民の組織とその活動の変遷と現状を明らかにした。菊地京子は、フィリピン農村における、マイクロファイナンスプロジェクトの社会的影響について、土地無し農民の生活向上、および意識改革に対し一定効果を上げている実態を把握した。笠井は、中国上海浦東空港建設事業の、住民利益の追跡調査を行い、養老、医療補償などを得た反面、若者の新規就業機会では就職者と失業者の二極化が起こっていることを見出した。
なお13年度から、研究協力者となった菊地靖は、フィリピンの貧困地域開発に関し、開発学研究所(PIDS)で、独自のODA事業評価方法を研究作成中であることを発見した。また、最終年度は研究内容の取りまとめのため、ヴィリャコルタ博士を日本に招聘し、予定通り打ち合わせを行った。
【研究代表者】