人工知能技術と疾患横断的・次元的アプローチに基づく精神障害の計算論的診断学の創出
【研究キーワード】
計算論的精神医学 / 人工知能 / 精神障害 / 深層学習 / ニューラルネットワーク / 精神疾患
【研究成果の概要】
本研究は、精神障害に関する症状・神経生理・認知行動のビッグデータに対して、疾患横断的・次元的アプローチに基づいて、機械学習・AI技術を含む計算論的精神医学の手法を適用することで、既存の精神障害カテゴリーには基づかない新しい表現型:症候学的タイプ、バイオタイプ、計算論的表現型の抽出を試みている。また、深層学習・データ融合技術を用いて、各水準の表現型を媒介するメカニズムを明らかにすることで、精神障害の統合的理解と新しい疾病概念を創出することを目的とする。
今年度の研究では、昨年度に引き続き、クラウドソーシングを通じた大規模Web調査の枠組みを用いて、疾患カテゴリー横断的・網羅的な精神障害の症状評価、および認知行動実験を実施した。症候学的データのクラスタリングにより、症候学レベルの精神障害亜型(症候学的タイプ)を探索的に構成することを試みた。また、複数の疾患カテゴリーに関する脳画像データベースを用いたデータ駆動アプローチにより、神経生理学的レベルの精神障害亜型(バイオタイプ)を探索的に発見することを試みた。さらに、症候学的タイプ・バイオタイプ、計算論的表現型の各水準の表現型の背後に、共通すると仮定する潜在状態抽出のための基盤技術として、マルチモーダル変分自己符号化器を用いた多元的データ融合技術の開発を試みた。
【研究代表者】