脳卒中・心筋梗塞及び悪性新生物の遺伝子を含む発症要因解明を目的としたコホート研究
【研究分野】公衆衛生学・健康科学
【研究キーワード】
循環器疾患 / 悪性新生物 / 発症 / コホート研究 / 危険因子 / 遺伝子
【研究成果の概要】
本研究は、地域集団における脳卒中・心筋梗塞・悪性新生物等の生活習慣病の発症要因を明らかにすることを目的に滋賀県高島郡(現、高島市、人口55,537人)において老健法基本健診および特定健診受診者を対象としてコホート研究を実施した。同地域におけるベースライン調査は2002年から旧5町1村を巡回する方法で実施し、本研究費申請期間の最終年度において第1次ベースライン調査が終了した。調査項目は、食生活および活動量に関するアンケート調査、既往歴および現在の健康に関する問診、高島市実施の健診項目に加えて理学的所見としてABIおよびbaPWV、生化学所見としてBNP、高感度CRP、インスリン、HbAlc、尿中Na、Kおよびクレアチニンなどを本調査の追加検査項目とし、さらにSNP s解析を目的としたDNAを採取した。この集団を追跡対象として転出、死亡、脳卒中、心筋梗塞、悪性新生物の発症を把握する追跡調査を実施している。
申請最終年度までのベースライン調査で男女計7,406名の健診受診者に対して本研究への協力に関する同意を求めたところ男性2,187名、女性3,905名の計6,092名(承諾者の割合;82.3%)から本調査に対して協力する旨の同意が得られた。これらの対象者についての現在追跡調査を行っている。平均追跡期間5.0(±1.9)年の現時点での追跡調査において、死亡180例、転出72例、脳卒中113例、心筋梗塞19例、悪性新生物24例の発症を把握している。しかしながら、コホート研究の主目的である各疾病の発症および死亡に関するリスク評価については解析に足る十分なイベントが得られておらず、本報告にリスク評価の成果を記述することはできなかった。今後解析が進み次第論文等で公表する。
また、本研究と併せて同調査地区全住民を対象として実施している脳卒中および急性心筋梗塞の発症登録研究において、1990年から2001年にかけての脳卒中の発症率は減少傾向にありことが認められたが、急性心筋梗塞については1995年以降明らかに増加していることが認められ、今後、これらの成績と合わせてリスク評価を試みる。
【研究代表者】