ヒト毛包由来細胞および上皮系幹細胞を用いた毛髪再生に関する研究
【研究分野】形成外科学
【研究キーワード】
移植学 / 再生医学 / 分子生物学 / 組織培養 / 移植・再生医療 / 細胞・組織 / 生体分子 / 臨床
【研究成果の概要】
ヒト頭皮から採取した毛乳頭細胞の遺伝子発現解析を、マイクロアレイおよびRT-PCRにより行った。マイクロアレイにより繊維芽細胞と比較したところ、ケモカインリガンドやインターロイキン、細胞周期関連遺伝子、プロテオグリンカンに有意な発現増強が認められた。またRT-PCRでは既知の毛乳頭細胞マーカー14種の遺伝子発現を検討したところ、繊維芽細胞と比較して2種の遺伝子で有意な発現増強、1種の遺伝子で有意な発現低下を認めた。これらの遺伝子群の発現パターンにより、毛乳頭細胞と繊維芽細胞を識別することが可能になった。
毛乳頭細胞に対して21種のリコンビナント蛋白および化合物を与えて培養したところ、このうち数種の物質には増殖促進作用があることが判明した。またこのうち2種の成長促進因子は特に増殖促進作用が強く、毛乳頭細胞増殖培地用添加物質として使用できる可能性が示唆された。
FACSを用いてヒト毛包の上皮系細胞の表面抗原解析を行った。表皮角化細胞と毛包内角化細胞を比較したところ、後者のみにCD200陽性細胞とCD34陰性または弱陽性細胞が10%以上含まれており、毛包組織切片に対する免疫染色における染色パターンを鑑みて、この細胞集団に毛幹細胞が多く含まれることがわかった。また、この細胞集団におけるケラチンの発現を見たところ、バルジマーカーとされているケラチン15の陽性率は60%程度であった
前年度までにラット足裏皮膚に毛乳頭細胞を移植する方法(サンドイッチ法)を検討し、毛包誘導能を検定するモデルとして有用であることがわかった。
毛乳頭細胞の移植法の検討を行った。サンドイッチ法の他、チャンバーを用いた移植法、注射による移植法、皮膚切開に埋入する移植法などを比較検討した。サンドイッチ法は、表皮・毛乳頭間の相互作用が良好に担保され、毛包誘導には優れた方法であることがわかったが、臨床応用は困難であり、その他の移植法を開発していく必要があることがわかった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
長瀬 敬 | 国立病院機構 | 村山センター | 研究部長 | (Kakenデータベース) |
吉村 浩太郎 | 東京大学 | 医学部附属病院 | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2005 - 2006
【配分額】15,700千円 (直接経費: 15,700千円)