高齢社会における日本と中国の家族のあり方:成年後見制度の運用からみた社会学的研究
【研究キーワード】
地域福祉 / 看とり / 成年後見制度 / 任意後見 / NPO法人 / 市民後見 / 社会化 / 共同体 / 任意後見制度 / 身上監護 / 財産管理 / 生活支援 / 地域包括ケアシステム / 高齢社会 / 家族 / 社会学
【研究成果の概要】
本研究の目的は,高齢者の財産管理を支える手段のひとつである成年後見制度,とりわけ,日本と中国の任意後見制度の利用事例に着目し,そこから現在の家族のあり方と変化を読み解いていこうとするものである.本研究課題は,2021年度で終了した国際共同研究加速基金「中国・上海における成年後見制度の運用展開に関する社会学的研究」(17KK0071)で得られた知見をさらに発展させるものである.
2021年度は,新型コロナウィルス感染症の拡大防止の影響から中国でのフィールドワーク調査を実施することはできなかった.
そこで,今年度は,国内での先駆的な任意後見への取り組みで知られる成年後見NPOを対象としたインタビュー調査を信州で実施した.NPO法人に着目するのは,脱家族化し,専門職化した成年後見を,脱専門職化するには,市民後見を中心とした成年後見の社会化のあり方とその可能性を追求していくことが,ひとつの方法となるからである.人びとが直面する生活問題と新しい地域課題に対して,成年後見の担い手として,NPO法人がどのようなかたちで,人びとの暮らしに関与しているのかを分析し,考察したことを,以下にまとめた(税所真也,2021,「地域福祉からみた成年後見――市民社会が支える看とり」上村泰裕・金成垣・米澤旦編『福祉社会学のフロンティア』ミネルヴァ書房,pp.251-266).
上記の論考で論じたのは,地域福祉で掲げられてきた,市民の暮らしを最期まで市民同士で支えあう社会を,任意後見制度の活用によって達成していこうとする自律した市民の姿である.市民社会のなかで,成年後見を通じた共同体をどのように作り上げていくことができるか.これが次年度以降,本研究課題が取り組むいくべき課題となった.
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2020-04-01 - 2024-03-31
【配分額】3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)