天変地異のオープンサイエンス
【研究キーワード】
オープンサイエンス / サイエンスコミュニケーション / 科学教育 / アクションリサーチ / 防災 / 減災 / サイエンス・学コミュニケーション
【研究成果の概要】
本研究は、「オープンサイエンス」の立場に立って、天変地異(防災・減災)に関する研究・教育のあり方を変革することを目的とした研究である。「オープンサイエンス」とは、科学研究をより開かれた活動へと変革する運動である。狭義には、より多くの人々が科学研究のデータや成果にアクセス可能とすること、広義には、従来のサイエンス・コミュニケーションを拡張して、市民を含めより多くの人々が協力し、人々から信頼される科学研究を実現するための科学論・教育論を構築することを目標とする。 本年度も、コロナ感染症の影響を受けて、予定を一部変更し、昨年度同様、天変地異に関する研究を「認識」レベルで「オープンサイエンス」化するための研究を、「観測」と「解読」の2つの側面から実施した。
「観測」では、内陸地震に関する観測研究や成果発信に地域住民が関与する仕組みに関する研究、津波避難訓練支援アプリを通して得られる住民の行動データを蓄積したデータベースの活用に関する研究、局所的な気象現象の解明に一般住民から寄せられる情報を活用する研究や教育を実施した。具体的には、京大阿武山地震観測所における地震サイエンスミュージアムに関する研究、兵庫県宝塚市、京都府福知山市などにおける豪雨災害に関するローカルエリアリスク情報の研究、高知県黒潮町での津波行動データ分析システムに関する研究などを推進した。
「解読」では、古文書の解読を通して地震、台風といった事象に関する歴史的な解明を図る研究を実施した。具体的には、古文書から古地震記録を抽出する試みとして定評のある「みんなで翻刻」プロジェクトを推進した。具体的には「みんなで翻刻」のシステムの登録者数がこれまでに目標の半数以上の7900人に到達し、翻刻された文字数も昨年から500万字増えて1882万字に上った。
なお、これらの成果の発信にもつとめ、査読学術論文を複数公刊した。
【研究代表者】