脂肪酸がシグナルとして個体成長を促進するメカニズムの解明
【研究キーワード】
線虫 / 栄養 / 脂肪酸 / 必須アミノ酸 / 成長 / 脂質 / 分子遺伝学 / アミノ酸 / 栄養応答 / 個体成長
【研究成果の概要】
食餌環境は動物の成長を促進する最も重要な環境因子であるが、その作用機構は不明な点が多い。申請者は、線虫C. elegans(以下、線虫)が、脂肪酸とアミノ酸が、一時停止した個体成長を再始動させ促進する「シグナル」として協調的に機能することを示唆する知見を得た。我々は順遺伝学的スクリーニングにより、アミノ酸を与えるだけで、脂肪酸がなくともある程度成長をすすめる「脂肪酸非要求性変異体」としてヘッジホッグアシル化酵素をコードするhhat-2を同定した。hhat-2は神経細胞で発現し、脂質生合成酵素の発現を抑制することで、個体成長を負に制御することを示唆する結果を得た。
【研究の社会的意義】
成長期での適切な食事が健全な成長に重要であることは周知の事実であるが、その生物学的なメカニズムは不明な点が多く残されている。例えば、食事中のどの栄養成分が、どのように成長を促進するか、遺伝子や細胞の解像度では詳細な記述が不十分であり、詳しく理解されていないのが現状である。我々は、個体の一生の成長過程を1細胞の解像度で追跡可能であるC. elegansという線虫をもちい、食事中のどの栄養素が、どの遺伝子を介して成長を制御しているかを研究してきた。本研究では、神経系でhhat-2という遺伝子がはたらき、脂質の代謝を制御することで、個体の成長を制御する可能性を見出した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2018-04-01 - 2022-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)