肝特異的トランスポーターの発現変動におけるエピジェネティック制御機構の解析
【研究分野】医療系薬学
【研究キーワード】
トランスポーター / 異物解毒 / 肝細胞 / エピジェネティクス / DNAメチル化
【研究成果の概要】
OATPmRNAが発現していないHepG2細胞において, MBD2のノックダウンにより肝特異的トランスポーターOATP1B3が誘導されることを昨年度明らかにした。DNAメチル化阻害剤5azadCによる処理でも、OATP1B3の発現誘導が観察されるが、この誘導されるOATP1B3遺伝子の塩基配列を確認したところ、正常肝とは異なる転写開始点から転写が行われており、N末領域が異なる変異型のOATP1B3であることを明らかにした。OATP1B3を内因性に発現するPK-8細胞においても、この変異型のOATP1B3であることを確認した。OATP1B3の新規バリアントの転写開始点近傍のCpG sites (TSS-300~+100の範囲、10箇所)について、DNAメチル化状態をbisulfite sequencing法で解析した。HepG2ならびにPK-8では正常肝で見られる転写開始点付近はメチル化されており、特にPK-8ではメチル化パターンと発現との間に乖離が見られた。しかし、改めてバリアントの転写開始点付近のDNAメチル化状態を確認したところ、正常肝では5'領域ならびに転写開始点下流も高度にメチル化されており、HepG2細胞では(-279、-264、+21)の3箇所において、PK-8細胞で観察されるよりもメチル化が有意であり、これらのサイトが発現抑制に関わっていることが示唆された。この変異型OATP1B3の機能については、さらに検討する必要がある。肝臓特異的に発現するOATPに関しては、DNAメチル化によりその発現が制御されていることを明らかにした。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的萌芽研究
【研究期間】2009 - 2010
【配分額】2,700千円 (直接経費: 2,700千円)