グッド・ガバナンス論再考のためのインドネシア地域研究:ビッグデータ分析の試み
【研究キーワード】
地域研究 / インドネシア / グッド・ガバナンス / ビッグ・データ / ツイート / 地方自治 / ビッグデータ / 地方ガバナンス / 東南アジア / ツイッター / ガバナンス / 地方政治
【研究成果の概要】
本共同研究では、日本とインドネシアの地域研究者がビッグデータなどを用いながら共同研究を行い、ドナーが途上国に一律に適用しがちなグッド・ガバナンスの概念をインドネシアの自治体の事例から再検討した上で、それぞれの地域社会に依拠・適合した地方ガバナンスのモデル構築を目指している。2019年度から2020年度にかけては、インドネシアのデータ・マイニング会社、Kata Data社にとともに、2013年から2020年にかけて自治体が管轄する7セクター(コロナ感染症、雇用・貧困削減、環境、居住、地方ガバナンス、教育、公衆衛生)のツイート収集・分析を行った。まず、ツイートでの言及が多い自治体、社会的亀裂の深い自治体を35選び、それぞれの自治体について、7セクターに関連するキーワードを含む約150万ツイートを抽出した。そのうえで、6種類のアルゴリズムを使って各ツイートのセンチメント分析も行った。2021年度は、こうしたツイート分析をさらに進めた。まず、それぞれの自治体ごとの重複なしのツイート数をセクター別に分析し、自治体ごとにツイートされるテーマの差異がかなり大きいことがわかった。次に、Nvivoというソフトを使い、各自治体ごとの頻出語を分析してみると、自治体ごとにかなり頻出語が異なることが明らかになり、ツイートを通じて自治体ごとに重要なイシューを明らかにする方法として有効であることが明らかになった。例えば、首都ジャカルタでは洪水(banjir)が最頻出タームであるのに対して、泥炭火災が顕著なペカンバル市では、泥炭火災に伴う煙害に関するタームが最頻出タームであった。3つ目は、ツイートデータのさらなる整理である。オンライン・ニュースやボットによるツイート発信も目立つことから、Kata Data社に対して、そうした一般の人のつぶやきではないものを排除したデータベースの作成を行ってもらった。
【研究代表者】