Ageing, Dementia, Care in Contemporary Fiction
【研究分野】英米・英語圏文学
【研究キーワード】
ageing / gender / friendship / masculinity / TV drama / film / dementia / care / narrative / sexuality / novel / TV series / fourth age / 老い / 認知症 / ケア / 介護 / 老年学 / fiction / culture / gerontology / literature
【研究成果の概要】
本研究は、下記のテーマに沿って構想されている:①認知症の文学的語り、②認知症の文化的意味、③児童向け絵本における老い、認知、感情、④現代文学における老い、ジェンダー、ケア(③は国際共同研究加速基金研究課題として進捗)。本年度は②と④の研究を継続発展した。②日本の現代映画作品における認知症の表象の研究を継続した。映画は、認知症の文化的意味形成において重要な役割を担うと考えられる。分析作品においては、西洋文化圏と異なる認知症の表象が認められるが、作品の年代を踏まえると、その表象に変化があることが明らかになった。これには、日本国内において、認知症についての(西洋)医学的理解が広まったことが影響していると思われた。
④(1)老い、ジェンダー、友情(friendship)についての国際共同研究を継続した。多くの社会で公的福祉が削減され、家族介護の限界が叫ばれる中、血縁を超えた友人関係が高齢期にどのような役割を果たしうるかという問いが重要になっている。今年度は、この問いを歴史文化的文脈により密接に結びるために、公共政策や文化空間におけるfriendship言説・表象研究、老年学分野のfriendship研究の文献調査を行った。その結果、老年期のfriendshipの文化表象が、様々な形で、個人主義的な新保守主義の影響を受けていることが確認できた。
(2)老年期の経験や意味の形成要素としてジェンダーが認識されているが、先行研究の多くは女性に注目したものであり、老年期とmasculinityについての研究の必要性が高まっている。これを踏まえ、テレビ・ドラマを分析対象に、老年期とmasculinityについて考察した。ageingとmasculinityがいかに描かれているか、近年批判の的となっているtoxic masculinityと異なるのか、異なるとすれば、どう異なるのかを考えた。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2017-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)