抗がん剤反応性の個人差解明をめざしたプロテオーム解析
【研究分野】医療系薬学
【研究キーワード】
個別化医療 / プロテオーム / メタボローム / バイオマーカー / 薬剤感受性 / プロテインチップ / オキサリプラチン / イリノテカン / 抗がん剤 / 個人差 / SELDI-TOF MS / MALDI-MS
【研究成果の概要】
薬剤の反応性には個人差(レスポンダー/ノンレスポンダー)がある。本研究では、がん薬物治療の個別化を目指し、タンパク質発現、細胞内代謝物の変動といった薬剤に対する生体反応の統合的解析による薬剤反応性指標マーカーを見出すことを目的とする。大腸癌治療におけるkey drugであるオキサリプラチン(L-OHP)、イリノテカン(CPT-11)、フルオロウラシル(5-FU)を対象に、ヒト大腸癌細胞株を用いたプロテオーム解析およびメタボローム解析を実施した。
1.オキサリプラチン感受性予測バイオマーカーの探索:11種類のヒト大腸癌細胞株のL-OHP感受性をIC_<50>値により評価し、各種プロテインチップを用いてSurface-enhanced laser desorption/ionization time-of-flight mass spectrometry(SELDI-TOF MS)により細胞内タンパク質の発現解析を行った結果、タンパク質発現強度(ピーク強度)と、L-OHP感受性(IC_<50>値)との間に強い相関性を示すバイオマーカー候補タンパク質を見出した。
2.イリノテカン治療反応性予測バイオマーカーの探索:各種大腸癌細胞株を皮下移植した担癌マウスを作成し、CPT-11に対するレスポンダー/ノンレスポンダーについて血清中のメタボロームの変動をキャピラリー電気泳動-飛行時間型質量分析計(CE-TOFMS)を用いて解析した結果、CPT-11曝露に起因して変動する血清中バイオマーカー候補化合物を見出した。
3.ヒト大腸癌細胞に5-FUを曝露させた後の内因性ヌクレオチドおよび5-FU代謝物のメタボローム変化をCE-TOFMSにて一斉解析し、5-FU曝露後の5-FU関連代謝物、核酸代謝の変化を含むメタボロームのダイナミクスを初めて明らかにした。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
鈴木 小夜 | 慶應義塾大学 | 医学部 | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2006 - 2007
【配分額】17,130千円 (直接経費: 15,300千円、間接経費: 1,830千円)