細胞性粘菌由来の生物活性物質をシードとした創薬~新規抗がん剤と抗菌薬の開発~
【研究キーワード】
細胞性粘菌 / DIF / 抗がん剤 / 抗菌薬 / マラリア / 糖代謝 / 創薬 / 天然物化学 / 抗菌剤
【研究成果の概要】
細胞性粘菌Dictyostelium discoideum(以後「粘菌」)は、発生生物学や細胞生物学のモデル生物として世界中で利用されている。我々は粘菌の分化誘導因子 DIF-1(塩素を含む化合物)とその誘導体(以後単に「DIFs」)をリード化合物とした新規抗がん剤と抗菌薬の開発とそれらの作用機序解析を進めている。さら に、 DIFsの有する様々な生物活性についても探索・研究している。
1)トリプルネガティブ乳がん (TNBC)は難治性がんである。多くのTNBC細胞はPD-L1を発現しており、免疫からの攻撃を回避している可能性がある。我々は、MDA-MB-231細胞のPD-L1発現に対するDIFsの効果を検討し、いくつかのDIFsがPD-L1の糖鎖修飾を阻害することを見出した(2020年度までの研究成果)。PD-L1が機能するためには糖鎖修飾が重要であるため、我々の検討結果は、DIFsがTNBCの免疫療法に応用できる可能性を示唆している。現在、我々はDIFsの作用機序解析を進めており、とりわけDIFsによって引き起こされるkinasesの活性変化に注目している。
2)我々はマラリア原虫(クロロキン耐性株やアルテミシニン耐性株を含む)の増殖に対するDIFsの効果をin vitroで検討し、いくつかのDIFsが強力な抗マラリア原虫活性を有することを報告してきた(2020年度までの研究成果)。今回我々は新たなDIF誘導体を合成し、そのin vitroおよびin vivoでの抗マラリア活性を検討した結果、強力な活性を有する誘導体を見出した。
3)新たなDIF誘導体を合成し、抗菌活性の検討を行った。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
菊地 晴久 | 東北大学 | 薬学研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
原 太一 | 早稲田大学 | 人間科学学術院 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)