連鎖解析による自閉症の原因遺伝子の検索
【研究分野】精神神経科学
【研究キーワード】
自閉症 / 分子生物学 / GRPR / 遺伝子多型 / 連鎖解析
【研究成果の概要】
自閉症に対する連鎖解析を行った報告では、いくつかの部位に連鎖している可能性が報告されている。この中でも、特に7番染色体の長腕については複数の報告で有望とされており、今後もこの領域については検討が進むことと思われる。特に7q32の領域ではインプリンティング遺伝子が見つかっており、今後の展開が待たれるところである。
全染色体での連鎖解析は、Schaoら(2002)が99家系352部位、Alarconら(2002)が152家系335部位、Auranenら(2002)が38家系369部位、Buxbaumら(2001)が95家系382部位、IMGSACグループ(2001)が152組394部位、Liuら(2001)が110家系335部位、Rischら(1999)が139家系519部位、などで報告している。この結果から強い連鎖を認める共通の部位を見いだすことは困難であるが、7番染色体などではほぼ共通した連鎖の傾向が認められるといってよい。
自閉症候群のうち、より生物学的に均質な群を抽出して、連鎖解析の精度を高めようという試みも行われてきている。Shaoら(2002)は2番染色体短腕の6部位を99家系で検討し、発語の遅い自閉症家系との連鎖を報告している。同じグループは、15番染色体について、Ordered-subset Analysisを行って同一性保持の強い一群を見いだしている。自閉症では生物学的異種性の存在が常に言われてきており、今後しばらくはこれまでのような単純な連鎖解析ではなく、これらのような異種性を前提とした解析が行われるであろう。
今回の研究は、解析途中であり、程度の症状のある家族を罹患者として含めるか、遺伝子以外の物質的環境要因を考慮しつつ、結果をまとめていく予定である。
【研究代表者】