極限環境における分子の活性化と反応の制御
【研究分野】有機化学一般
【研究キーワード】
超高圧反応 / 超音波化学 / フラッシュ気相熱分解 / プラズマ / カルベン / 固相反応 / クラウンエーテル / 芳香族求核置換反応 / ヌクレオシド / フラーレン / カルベル
【研究成果の概要】
本研究の概要を各分科会ごとにまとめた。
[超高圧]:超高圧を用いる理由は通常条件で当該の反応が使えないからである。各分担者はそれぞれの必要性から超高圧環境を用いてヌクレオシド系抗IV剤(±)-BCAの酵素的光学分割(金子)、中性に近い条件でのエステルの開裂(山本)、超高圧条件下でのダイナミックな溶媒効果の研究(原)、モノ及び多塩素置換ニトロベンゼン類の芳香族求核置換反応(井畑)、フラーレン(C_<60>)とトロポンのDiels-Alder反応(竹下)、銀選択性アザクラウンエーテル類の合成(松本)を行った。[超音波]:超音波が有機反応に影響を与える機構は良く分かっていないが、均一、不均一を問わず溶液中で特異な現象がしばしば見いだされた。成果としては、オレフィンのヒドロキシスタネーション(中村)、光化学反応との併用の試み(安藤_喬)、既知反応による超音波環境下の反応メカニズムの研究(木村)、生体物質への超音波環境の影響(西本)、超音波環境下での高分子化合物の改質(藤原)、結晶中での有機反応(戸田)、固-液界面でのフッ素化反応(市原)がもたらされた。[閃光熱分解(FVP)]:FVPは不活性ガス気流下あるいは低圧下で専ら分子内熱分解反応により、通常条件下で合成するのが困難な化合物を得ようとする方法である。分担者の主な成果は、シリコンやゲルマニウムなどの14族不飽和化合物の分子内反応(安藤_亘)ジフェニルカルベンの転移反応(富岡)、6-(2-チエニル)ペンタフルバレンオリゴマーの合成(小田)であった。[プラズマ]:有機反応に用いる低温プラズマ状態とは有機モノマーガスのグロー放電により生じる数万℃の電子温度と、数百℃のガス温度の熱的非平衡状態で、通常の条件とは全く違った、電気当量に従わない連鎖反応などがおこる。この分科会の成果としては、水溶液、有機溶液でのグロー放電電解(CGDE)(手塚)、機能性有機薄膜の合成(吉田)、熱水噴出孔モデルと化学進化(石神)がある。
【研究代表者】