胎児循環における物質輸送特性の再評価と胎児心血管系制御システムの解明
【研究分野】生体情報内科学およびその関連分野
【研究キーワード】
胎児循環 / 低酸素 / アミノ酸 / 心筋細胞 / 細胞分裂 / 心筋肥大 / 不整脈 / 胎盤 / 細胞周期 / 心筋分裂 / 細胞分化 / 有袋類 / 分裂能 / 胎児ヘモグロビン / コネクチン / Novex-3 / 酸素環境 / 再生医療 / 栄養シグナル / 心筋細胞分裂制御 / 酸素分圧
【研究成果の概要】
生体は多彩な細胞で構成されるが、元は1個の受精卵であり細胞分裂を繰り返して各々の機能を獲得していく。その仕組みにおいて遺伝子など分子ネットワークが重要な役割を果たしているが、本研究では胎児循環を酸素やアミノ酸に対する独自の輸送特性によって胎児生体機能を制御する情報システムとして捉え、心筋細胞の分裂・分化に焦点を当て解析した胎児循環では酸素濃度が低く、出生に伴い高濃度酸素に曝露されるが、その環境変化を情報として利用している仕組みを解明した。主要因子としてFam64aを同定し、胎生期に細胞分裂を活発に行う心筋細胞が出生後分裂能を失うメカニズムやその応用として心筋障害時の機能回復に関して検討した。
【研究の社会的意義】
再生医療の実現を目指してiPS細胞など多能性を持つ細胞から様々な細胞への分化誘導の研究が精力的に進められている。出生直後に分裂能を失い心筋梗塞などの疾病後にも増殖しない心筋細胞は再生医療のニーズの高い有望なターゲットとして注目され、より高い分化・純度を求めて多くの誘導因子が報告されている。本研究では成体内での発達過程における環境として酸素およびアミノ酸濃度に着目して心筋細胞の分裂能制御メカニズムの解明に取り組んだ。出生に伴う酸素濃度変化による心筋細胞の分裂能喪失の分子メカニズムに迫ると共に、短時間の高濃度酸素曝露でも分裂能が低下することが明らかになり、効率的組織培養への知見を得ることが出来た。
【研究代表者】