幹細胞可塑性の分子メカニズムと再生医学研究
【研究分野】血液内科学
【研究キーワード】
造血幹細胞 / 可塑性 / ヒトES細胞 / 血球細胞 / Tie2 / GFP / 再生医療 / 幹細胞 / 再生医学 / Notch / paraaortic-splanchnopleura(P-SP)領域 / 血管内皮細胞
【研究成果の概要】
GFPトランスジェニックマウス造血幹細胞分画を移植して、脳内からGFP陽性細胞を採取し、神経特異的マーカーであるNeuNやTrk-Rの発現を解析した。この実験では、脳内においてGFP陽性細胞を同定することができ、これらの細胞におけるNeuNおよびTrk-Rの発現を確認した。しかしながら、その発現時期を明確にすることはできなかったため、これらの分子の発現を誘導する転写因子の道程には至らず、したがって遺伝子発現プロファイルを解析し、幹細胞可塑性の分子メカニズムを解明するという当初の目標に到達することはできなかった。
しかし一方申請者らは、科学技術・学術審議会「特定胚及びヒトES細胞研究専門委員会」において、ヒトES細胞の研究計画について審議を受け、平成14年12月に文部科学大臣からの計画承認を受けた。その後、ヒトES細胞の培養に着手し、造血細胞をよりよく分化誘導する条件を検索している。現在までのところ、無血清条件で未分化状態を保ちながらヒトES細胞を維持できているが、血球細胞への分化については血清添加条件でのみ成功している。これと同時に、マウスES細胞を用いて、ES細胞から造血幹細胞への分化を決定する分子を、発現クローニング法により同定を試みている。すなわち、ES細胞にTie2プロモーターでドライブされるGFP発現ベクターを導入し、GFP陽性をESから造血幹細胞への分化方向中胚葉マーカーとして用いる。マウスAGM由来cDNA発現ライブラリーをOP-9ストローマ細胞に導入し、ES由来GFP発現細胞の出現を指標として、cDNAを単離することを試みる。このようにして、別な角度から再生医療への道筋を見いだしたいと考えている。
【研究代表者】