核磁気共鳴法によるG蛋白質共役型受容体の活性制御機構の解明
【研究キーワード】
NMR / GPCR / Gタンパク質 / アレスチン / システム生物学 / G蛋白質 / 膜タンパク質 / アドレナリン受容体 / オピオイド受容体
【研究成果の概要】
(1) 【b2AR および mOR の各モチーフの構造を反映する NMR シグナルの観測、帰属】
b2ARに関しては、部分重水素化およびチロシン残基の主鎖15N標識を施したb2ARのNMRスペクトルを測定して、残基数に対応する数のシグナルを観測した。各チロシン残基の変異体のスペクトルを測定して、野生型と比較することにより、モチーフ近傍に位置する3残基のシグナルを帰属することに成功した。mORに関しては、膜貫通領域上の6つの残基にメチオニン残基を変異導入したmORのNMRスペクトルを測定して、シグナルを帰属した。
(2) 【各リガンド結合状態の b2AR および mOR のシグナルの観測】
b2ARに関しては、(1)で帰属したチロシン残基のNMRシグナルを、逆作動薬結合状態と作動薬結合状態で観測した。その結果、作動薬結合状態では、いずれのシグナルも逆作動薬結合状態と比較して広幅になっており、モチーフが特定の構造に安定化されておらず、構造多型が存在することが示唆された。
mORに関しては、完全作動薬結合状態と部分作動薬結合状態、およびシグナル伝達活性が向上する変異を導入した状態で、各メチオニン残基のNMRシグナルを測定した。その結果、モチーフの近傍に位置する残基のシグナルが三つ観測され、各シグナルの相対強度がシグナル伝達活性に対応して変化することが観測された。これらの結果から、mORが不活性型、部分活性型、活性型の間の構造平衡状態にあり、各状態の存在割合がシグナル伝達活性を規定していることが示唆された。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)