微生物由来グルタミン酸脱水素酵素の新奇調節機構の探索と環境応答の分子基盤の解明
【研究キーワード】
グルタミン酸脱水素酵素 / 活性調節機構 / 環境応答 / 炭素・窒素代謝調節 / 立体構造解析
【研究成果の概要】
2021年度は、高度好熱菌Thermus thermophilus由来のグルタミン酸脱水素酵素GDHについてはGdhA/GdB/APRTh複合体のクライオ電顕解析を行い、3.6Å分解能のデータを得た。データ解析の結果、GdhA(またはGdhB)とAPRThの間の相互作用部位の構造が以前のデータと比べクリアとなり、該当するアミノ酸残基を置換させて改変体を作製し、相互作用部位の確認を進めた。
分裂酵母Schizosaccharomyces pombe由来のGDHは2種類存在する。そのうち一つのSpGDH1は細胞質に存在するNADPH依存型のGDHである。SpGDH1の補酵素結合部位のアミノ酸残基がリン酸化されることが示唆されており、補酵素特異性の制御機構が存在することが予想された。リン酸化模倣変異を導入した置換体を作製し、活性を測定したところ、補酵素特異性がNADHにシフトしていることがわかった。また、SpGDH1の結晶構造を決定し、野生型酵素の補酵素認識機構が明らかになった。
他方のSpGDH2はサブユニットのサイズが約115kDaと大きいタイプのGDHである。コアGDHドメインの他にN末端、C末端側に機能未知ドメインを有していることなどから、複雑な調節機構が存在することが予想されるが現状でその手掛かりは少ない。今年度SpGDH2については大腸菌を用いて組換えタンパク質を調製し、活性測定を行った。その結果、NAD+依存酵素であることが確認された。また、純度の高いサンプルを調製し、クライオ電顕解析を行い、比較的高分解能のデータを得た。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)