MRIと同位体顕微鏡を用いたマルチスケールの水分子イメージング
【研究キーワード】
水動態 / MRI / 同位体顕微鏡 / glymphatic system / 安定同位体 / Glymphatic system
【研究成果の概要】
①MRI撮像法開発:O-17標識水の存在によるT2値の短縮を定量的に計測してO-17濃度を定量解析するため、プリパルスを利用した高速T2 mapping法を開発して最適化を行った。異なる濃度のO-17標識水を含有した濃度ファントムを作成し、高速T2 mapping法と従来のFSE法によるT2 mapping法の精度を比較した。従来法と比較して高精度のT2値測定が可能となった。
②正常動物・疾患モデル動物でのMRI撮像:正常マウスやラットにてO-17標識水の静脈内投与法や髄腔内投与法、頸動脈内投与法、腹腔内投与法などを確立した。静脈内投与や頸動脈内投与によって脳内の有意なMRI信号変化を確認した。水中毒モデルラットにO-17標識水を腹腔内投与してMRI撮像を行い、AQP4欠損ラットとの比較を行った。AQP4欠損によって脳内の水貯留が増加することが明らかになった。ALSモデルマウス・ラットにてO-17標識水を静脈内投与してMRI撮像を行った。野生型と比較して錐体路での水漏出が増加していることが明らかとなった。
③同位体顕微鏡による水分子イメージング:新たに導入した多機能コーティング装置を用いて凍結下での標本作成から同位体顕微鏡によるイメージングまでの解析手順を確立した。ラット脳にO-18標識水を直接注入し、注入部位でのO-18濃度の上昇を確認した。摘出したラット肝の門脈内にO-18標識水を注入し、血管内や類洞内のO-18濃度の上昇を確認した。
④ヒトでのMRI撮像:認知症患者を対象にしたO-17標識水の髄腔内投与研究にて、特発性正常圧水頭症患者とアルツハイマー型認知症患者で、髄腔内の水吸収速度に差があることを見出した。
【研究代表者】