新規概念によるNMR測定を用いた乳がん血清診断法の開発
【研究キーワード】
NMR / 乳癌 / 診断
【研究成果の概要】
本研究では、我々が開発を行ってきた「モード解析の概念を取り入れたNMR分析」という新しい血清診断法を乳がんの臨床診断に応用できるかどうかを、全323検体からなるデータセットの比較/統合解析を行うことで検証した。その結果、現行の手法では「乳がんと健常者」、「浸潤がんと非浸潤がん」、「リンパ節転移の有無」といった2群の識別では比較的良好な性能を有することが明らかになった一方、「乳がんのサブタイプといった4群以上の識別においては性能が十分でない可能性が示唆された。また、測定時期や測定機器が異なるデータを較正して統合解析する手法の開発など、臨床応用に向けて必要な新たな課題も明らかとなった。
【研究の社会的意義】
血液を用いた乳がんの診断法には一般的な腫瘍マーカー検査や、循環腫瘍DNA(ctDNA)などがある。今回の研究では、「モード解析の概念を取り入れたNMR分析」を用いることで、乳がんの有無、浸潤の有無、リンパ節転移の有無といった、これまで手術や生検などでしか得られることができなかった情報を、血液を用いて診断できる可能性が示唆された。このような診断は、既存の血液診断法(腫瘍マーカーなど)では不可能であり、実際に臨床応用に結びつけば、患者負担を低減できる革新的な技術になると考えられた
【研究代表者】