コンビナトリアル膜蛋白再構成系とケミカルジェネティクスを用いた膜内切断機構の解明
【研究分野】生物系薬学
【研究キーワード】
アルツハイマー / セクレターゼ / アミロイド / 膜内配列切断 / セレクターゼ / 分子生物学 / RNA干渉法 / ウイルス発現系 / 細胞内輸送 / 単粒子解析法
【研究成果の概要】
Aβは老年期の認知症の多くを占めるアルツハイマー病(AD)の発症機序に深く関与していると考えられている。そのためAβの産生に関わるγセクレターゼはADにおける重要な創薬標的分子である。しかしγセクレターゼは疎水性環境に存在する膜内配列を加水分解するという類例のないプロテアーゼであり、その分子機構の詳細は明らかではない。本研究においてはAD治療薬の開発を目指し、γセクレターゼによる膜内配列切断機構を分子レベルで理解するため、哺乳類細胞・ショウジョウバエ細胞・Sf9細胞発現系を用いてγセクレターゼの再構成を行い、各構成因子の機能解析を行った。さらに国内外の様々な研究者と共同研究を行い、構造生物学とケミカルバイオロジーを導入して研究を展開した。特にγセクレターゼがどのように膜蛋白の膜貫通領域を切断しているのかについて、PSが脂質二重膜内で「活性中心ポア構造」を形成するというモデルを提唱した。さらにこの活性中心ポア内で蛋白分解反応を行っていること、またPSの構造を直接ないし間接的に制御することで、その活性を制御できることを明らかにした。またγセクレターゼの生理機能についても検討を行い、その活性の精密な制御により、副作用のないAD治療法開発につながる可能性を明らかにした。さらに世界に先駆けて単粒子解析を利用しγセクレターゼそのものの構造解析を行い、γセクレターゼの構造生物学的アプローチの端緒を開いた。今後さらに研究を進め、γセクレターゼの切断機構の詳細な理解により、AD治療薬の開発につながるものと確信している。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2005 - 2007
【配分額】15,980千円 (直接経費: 14,900千円、間接経費: 1,080千円)