生細胞観察に基づいた哺乳動物オートファジーの膜動態の解析
【研究分野】細胞生物学
【研究キーワード】
オートファジー / Atg / オートファゴソーム / マウス / 脂肪滴 / 新生児 / Atgホモログ / PI3キナーゼ
【研究成果の概要】
1.哺乳類Atgホモログの単離と解析
これまでオートファゴソーム膜に局在することを見いだしていたLC3(酵母Atg8ホモログ)の相同分子GATE-16とGABARAPについてその局在を検討したところ、いずれもがLC3同様にオートファゴソーム膜に局在することを見いだした。これらはC末端のホスファチジルエタノールアミン修飾に依存していることも見いだした。
また新規の哺乳類Atgホモログとして単離した、ヒトAtg18ホモログについて解析を進めたところ、Atg18-3はオートファジー隔離膜に結合すること、Atg18-4はヒトAtg2と結合することを見いだした。さらにAtg2は脂肪滴に局在するという非常にユニークなパターンを示すことを見いだした。この脂肪滴への局在にはC末端側の150アミノ酸が重要であることを示した。今後Atg2とAtg18ホモログを中心として初期オートファゴソーム形成に焦点をあてて解析を進める。
2.マウス個体内でのオートファジーの可視化
GFP-LC3マウスを用いた解析から、絶食時にオートファジーが誘導されることを見いだしている。次いで、胎生期から新生時期の解析を行ったところ、胎生期のオートファジーは非常に低いことが判明した。しかし、出生直後に全身の組織で非常に活発なオートファジーが誘導されることを確認した。これは自然分娩ではすでに出生時に、帝王切開でも1時間以内という素早い誘導で、生後3-6時間にはピークとなる。その後漸減し、出生翌日には非常に低いベースラインにもどる。特に盛んな臓器は、心、横隔膜、肺胞上皮、真皮であり、これはアダルトマウスの飢餓とはやや傾向が異なる。このことから、新生時期には非常にユニークな飢餓にさらされていることが推測された。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2003 - 2004
【配分額】3,600千円 (直接経費: 3,600千円)