細胞内カルシウム動態調節によるシナプス可塑性のシナプス部位特異的制御機構の解明
【研究キーワード】
カルシウム / シナプス伝達 / 長期増強 / 海馬 / 遺伝子改変マウス / シナプス可塑性 / 遺伝子改変 / マウス
【研究成果の概要】
中枢神経系のシナプス前終末およびシナプス後細胞におけるカルシウムストアからのカルシウムイオンの放出に関与すると考えられる機能分子Xの役割を解明するために、シナプス前終末およびシナプス後細胞特異的に分子Xを欠損する遺伝子改変マウスを作出し、急性海馬スライス標本を作製して、電気生理学的解析を行った。その結果、シナプス前終末特異的変異マウスでは、海馬CA1領域において、低頻度持続刺激に対する興奮性シナプス応答に変化がみられ、シナプス小胞のリサイクリイング動態に異常があることがわかった。また、シナプス後細胞特異的変異マウスでは、長期増強が減弱することを見出した。
【研究の社会的意義】
小胞体からのカルシウムの放出がシナプス伝達やシナプス可塑性にどのように関与するかという報告はこれまでにあまりなかったが、シナプス部位特異的変異マウスを作製して電気生理学的な解析を進めることで、その重要性の一端を解明することができた。また、細胞内でのカルシウム放出の異常がハンチントン病やアルツハイマー病、パーキンソン病に関与するとされているが、この成果はこれらの精神神経疾患の病因解明のための基礎データを提供できるものと考える。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2019-04-01 - 2022-03-31
【配分額】17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)