新規医薬骨格の短工程合成を指向した不斉触媒
【研究分野】化学系薬学
【研究キーワード】
タミフル / 触媒的不斉合成 / Diels-Alder反応 / バリウム / トランスメタル化 / Curtius転位 / アリル位置換反応 / アジリジン開環 / 銅触媒 / 還元的Mannich反応 / ケトイミン / アミノ酸 / 共役還元 / ヘテロDiels-Alder型反応 / 金属交換 / 不斉触媒 / 銅 / 触媒的不斉Mannich反応 / アルキニル化 / トリフルオロメチルケトン / 多成分反応 / 不斉四置換炭素合成
【研究成果の概要】
抗インフルエンザ薬タミフルの触媒的不斉合成ルートを確立した。本ルートでは、独自に開発したFujiCAPO不斉配位子とバリウムからなる不斉触媒を用いる、シロキシジエンとフマル酸ジメチルとのDiels-Alder反応を基点とする。本反応により、所望とするendo体の生成物が90%ee以上の高いエナンチオ選択性で得られた。反応機構解析の結果、活性触媒はバリウム:不斉配位子=3:3の比率から構成される多核錯体であり、シロキシジエンをトランスメタル化により活性化し、生じるバリウムエノラートが実際の反応種となっていることを明らかとした。反応生成物のエステル部位を加水分解した後、アシルアジドへと変換し、t-BuOH中でCurtius転位をおこなうことにより、タミフル母核のトランスジアミン部位を高いエナンチオ制御を伴い合成した。その後、最終的にエトキシカルボニルとなるC1ユニットをPd触媒によるアリル位置換反応で導入し、酸化段階を1つ挙げた後に、C1ユニットを塩基性条件下でエトキシカルボニル基とした。最後に2回の光延反応を経てアジリジンを合成し、これを3-ペンタノールで開環した後官能基変換とリン酸塩化を経てタミフルの合成を完成した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2007 - 2009
【配分額】14,170千円 (直接経費: 10,900千円、間接経費: 3,270千円)