ジベレリン受容体解析を目的とした光アフィニティー並びに蛍光標識ジベレリンの合成
【研究分野】化学系薬学
【研究キーワード】
ジベレリン / 受容体 / 光アフィニティー標識 / 蛍光標識 / 合成 / α-アミラーゼ生合成誘導 / アリューロン細胞プロトプラスト
【研究成果の概要】
1.活性型天然ジベレリンであるGA_4の17位に種々のアルキルジチオールをラジカル付加してスペーサーとし、その末端チオールを利用して蛍光標識部位としてfluorescein骨格を導入、数種の蛍光標識GA_4を合成した。これらについて大麦の半切種子及びアリューロン細胞プロトプラストを用いたα-アミラーゼ生合成誘導活性試験を行い、最も活性の高いものとしてFLGA_4-1を選択した。又、これと並行して、先に合成法を確立した17-ハイドロキシGA_4を原料として光アフィニティー標識GA_4並びに蛍光標識GA_4の合成を検討した。その合成迄には至っていないが、合成中間体のα-アミラーゼ生合成誘導活性試験の結果より、化学的安定性並びに活性の面から、GA_4とスペーサーの接合部はFLGA_4-1のイオウ原子よりも酸素或いは炭素原子の方が優れているとの知見を得た。
2.カビの培養により工業的に生産され大量に入手できる天然ジベレリンGA_3をGA_4並びにGA_1誘導体に短工程かつ好収率にて変換する方法を確立した。これにより、原料の量的な確保が可能となり、プローブ分子の合成研究を効率的に進めることができるようになった。又、本変換法の開発過程において、α-ジケトンと酸素の光照射によるエーテルの新酸化反応を見出した。
3.大麦種子のアリューロン細胞プロトプラストを1で合成したFLGA_4-1で処理し、その相互作用をセルソーター及びレーザー共焦点顕微鏡を用いて観察、α-アミラーゼ生合成誘導に関わるジベレリン受容体が細胞膜上にあるとの知見を得た。
4.光アフィニティー標識GA_4及びGA_1の合成は現在検討中である。
以上の結果に加えて、本研究の手法を、近年、植物生長調節物質として注目されているジャスモン酸の受容体機構解明にも拡大すべくその構造活性相関研究を開始した。その過程で、天然ジャスモン酸の定量に有用な重水素標識ジャスモン酸の合成に成功した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
浅見 忠男 | 理化学研究所 | 植物機能研究室 | 先任研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】1996
【配分額】2,100千円 (直接経費: 2,100千円)