アデノ随伴ウイルスを応用した脳神経疾患に対する遺伝子治療
【研究分野】脳神経外科学
【研究キーワード】
遺伝子 / ウイルス / 脳神経疾患 / バイオテクノロジー / 遺伝子治療 / ウイルスベクター / アデノ随判ウイルス / 脳腫瘍 / 脳血管障害 / 動脈硬化症 / IL-10
【研究成果の概要】
非病原性のアデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するベクターは、頭蓋内での炎症反応も起こしにくく、神経組織や筋肉などにおいて、単回の投与で長期間安定した発現が可能である。本研究では、脳神経疾患への臨床応用をめざした次の研究段階として各種血清型AAVを用い、併用薬剤を用いた遺伝子発現増強効果、発現制御システム、およびベクターの筋注による蛋白質補充療法の効果を検討した。
1. ApoE欠損マウスにAAVベクターを用いてIL-10を体内発現させ、炎症制御による粥状硬化病変の進展予防効果と、IL-10による血清コレステロール値低下作用を証明した。
2.ウイルス宿主細胞の培養において、通常の研究室で実施可能なガス交換システムを用いた大規模培養系を開発し、従来の作業効率を大きく改善した。
3.ハンチンチン病モデルマウス線条体にAAVベクターを用いて標的分子に対するshRNAを導入し、発症した後でも凝集体を減少させ症状の悪化進行を遅延できる可能性を示唆した。
4. AAVベクターのゲノムは標的細胞への感染後ただちに核内でピストン修飾され、ピストン脱アセチル化酵素阻害剤により、自殺遺伝子の発現と効果が増強されることを証明した。
5. AAVベクター粗製物の精製において、新規強イオン交換膜を利用した中空粒子の回収および除去方法を開発した。
6.間葉系幹細胞の腫瘍集積性を利用し、ベクター産生細胞に改変した腫瘍標的化細胞を構築した。これを用い、担癌動物モデルにおける腫瘍組織内での導入遺伝子増幅効果を確認した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
小澤 敬也 | 自治医科大学 | 医学部内科講座 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2004 - 2006
【配分額】12,700千円 (直接経費: 12,700千円)