造血幹細胞への遺伝子導入による遺伝性好中球減少・機能不全に対する遺伝子治療
【研究分野】小児科学
【研究キーワード】
移植・再生医療 / バイオテクノロジー / 臨床 / 遺伝子 / 再生医学
【研究成果の概要】
単一遺伝子異常に起因して骨髄細胞のいずれかの系列の細胞増殖が低下しており、正常な遺伝子の導入により細胞の分化増殖が正常化すると予想される疾患を対象として、遺伝子治療へ向けた遺伝子導入システムと導入された骨髄細胞の機能評価システムを確立することを目的とし研究を進めた。先天性好中球減少症を対象疾患とし、glucose 6-translocase(G6PT)遺伝子異常に起因する、糖原病1b型に合併する好中球低下症、好中球機能不全の改善を目的とした研究を行った。
まず、G6PT遺伝子発現Lentivirus vector(pCS-CDF-ChG6PT-PRE)を作成しウイルスタイターを測定した。次に健常臍帯血由来のCD34陽性細胞を分離し、Lentivirus vectorによるG6PT遺伝子ならびにGFP遺伝子の細胞導入を行った。導入後にMethylcellulose培地コロニー形成能を観察した結果、遺伝子導入効率は約10%ほどであった。最後にインフォームドコンセントを得た糖原病Ib型の患者より骨髄細胞を採取後、CD34陽性細胞を精製しGFP遺伝子あるいはG6PT遺伝子を導入した。そしてMethylcellulose colony assayにて培地上のコロニーの形成状態を観察し、G-CFU,GM-CSF,M-CSF,E-BFUの数を調べ、血球の各lineage形成能を調べた。また、メチルセルロース培地にて培養後に形成されたG-CFU,GM-CSF,M-CSF,E-BFUのそれぞれのコロニーより細胞を回収後、コロニーPCRにて遺伝子の導入効率を算定した。結果として遺伝子導入効率が低く(約10%程度)、導入条件や培養条件等を検討したが研究期間中には条件の最適化が完了できなかったため、引き続き研究を継続中である。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
楠原 浩一 | 九州大学 | 大学院・医学研究院 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
曽田 泰 | 東京大学 | 医科学研究所分子療法分野 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2005 - 2007
【配分額】3,730千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 330千円)