慢性関節リウマチにおける腱断裂機序の解明と治療法の確立
【研究分野】整形外科学
【研究キーワード】
関節リウマチ / 骨 / 腱 / 破骨細胞 / 酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ / カテプシンK / SKGマウス / 病理 / マウス / 腱断裂
【研究成果の概要】
関節リウマチにおける腱断裂は、骨・関節破壊とともに患者の日常生活に重大な障害を来たす。本研究の目的は、関節リウマチにおける腱断裂の機序の解明と治療法の確立である。そのため、昨年度は、関節リウマチ自然発症モデルSKGマウスおよび、関節炎カクテル(免疫生物学研究所、群馬、日本)で誘導した関節リウマチマウスモデルを用い、関節炎を発症した関節周囲の腱の形態学的解析を行った。いずれのマウスも、関節炎発症時には、組織学的に、関節周囲炎、軟骨・軟骨下骨組織の破壊、パンヌスの形成が見られ、アキレス腱周囲にも炎症が及び、腱の菲薄化あるいは断裂が観察された。アキレス腱菲薄化部あるいは断裂部周囲には、多核を有する酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ陽性の破骨細胞様細胞が観察され、それらにはMMP-9、カテプシンKなどの、蛋白分解酵素の局在も見られた。したがって、これらの動物モデルにおける腱断裂には、多核の破骨細胞様細胞が重要な役割を果たすことが示唆された。
本年度は、実際に患者から得られた病理標本において、同様の観察を行った。その結果、関節リウマチにより断裂を来たした腱には、組織学的に、多核を有する酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ陽性の破骨細胞様細胞が観察され、それらにはMMP-9、カテプシンKなどの、蛋白分解酵素の局在も観察された。したがって、これらの関節リウマチの腱断裂においても、多核の破骨細胞様細胞が重要な役割を果たすことが明らかとなった。
【研究代表者】