オスマン帝国における社会階層とジェンダーに関する国際共同研究
【研究キーワード】
オスマン帝国 / 社会階層 / ジェンダー史 / トルコ / 国際共同研究 / ウラマー
【研究成果の概要】
2020年度は新型コロナウィルス蔓延のため、計画を大幅に変更することを余儀なくされた。そのため、出足が遅れたが、9月にメンバーで打合せを行い、研究の方向性を議論した。
特任研究員として守田まどか氏と長谷部圭彦氏を採用し、それぞれイスタンブル都市社会史研究とオスマン帝国教育史研究の立場から本研究課題に貢献してもらうこととした。両氏と研究代表者の3名で、1868年に作成されたイスタンブルの初等学校調査記録の共同研究を開始した。
研究代表者が、ボアチ・エルゲネ氏(米ヴァーモント大学)、ゼイネプ・ドルトク・アバジュ氏(トルコ、ウルダー大学)、メティン・ジョシュゲル氏(米コネティカット大学)とともに、オスマン帝国のシャリーア法廷裁判官の遺産目録をもとに、18世紀から19世紀初頭の裁判官における富の蓄積、時代的変遷、集団内の不平等についての共同研究を開始した。
20年12月に、第1回オスマン帝国史研究セミナーをオンラインで開催し、研究協力者の岩本佳子氏(長崎大学)と伊藤匠平氏(東京大学大学院学生)に報告を依頼した。岩本氏は、ワクフ総局文書館所蔵命令台帳を用いて母后ワクフからの徴税問題についてセミナー形式で報告を行い、伊藤氏は、トルコ共和国成立期のオリエント鉄道争議について発表した。
バーキー・テズジャン氏(米カリフォルニア大学デーヴィス校)、アリ・ヤイジュオール氏(米スタンフォード大学)、コー・チュンヒー氏(米UCLA)と次年度東京で開催する予定の国際会議について意見交換を行った。
新型コロナウィルス流行のため資料調査のための海外出張が2021年度に繰り越しても可能とならなかったため、その代替として、トルコの写本図書館、文書館から資料の複写を取り寄せた。送金手数料が高く、複写部分を絞り込めないため費用がかかったが、ウラマーの階層制度に関する珍しい資料など、重要な文献を入手できた。
【研究代表者】