若年男性の冠動脈石灰化と頸動脈肥厚による動脈硬化度と循環器疾患危険因子との関連
【研究分野】公衆衛生学・健康科学
【研究キーワード】
国際情報交換 / アメリカ / 動脈硬化 / 冠動脈石灰化 / 運動 / エレクトロンビームCT / 危険因子 / 予防医学 / 疫学 / 冠動脈疾患危険因子 / 国際共同研究 / 血清総コレステロール / 心筋梗塞 / 循環器疾患 / 脂肪摂取量 / EBCT / 超音波検査 / 脈波速度
【研究成果の概要】
本課題はピッツバーグ大学とハワイのアジア太平洋ヘルスリサーチ機構との共同研究であるERA JUMP (EBT and Risk Factor Assessment among Japanese and U.S.Men in the Post World-War II Birth Cohort)の調査の実施および解析である。本研究の目的は、冠動脈石灰化、頸部エコー、脈波速度等による潜在性動脈硬化状態およびその危険因子を40歳代男性の無作為抽出集団で国際比較し、動脈硬化の促進・予防決定因子を明らかにすることであった。
当該研究期間中に以下の各点が明らかになった。1)血圧・脂質・喫煙など古典的危険因子は米国人の方が良好だが、冠動脈石灰化の程度は米国人で大きいこと、2)ハワイの日系米人の動脈硬化進展度が日本人より大きく、遺伝子以外の因子が関与すること、3)歩数計を用いた運動量のパイロットスタディの結果、運動量の季節変動は認められたが、運動量の大小や季節変動が動脈硬化と関連するかどうかは不明で、更に参加者数を増やしての検討が必要であること
検体検査の厳密な標準化のため、検体を米国に送付し、古典的な危険因子に加えて、核磁気共鳴による脂質分画の比較、アディポサイトカインをはじめとする新たな危険因子および、動脈硬化に関連する遺伝子の解析を引き続き行う予定である。
現段階で日本人の潜在的冠動脈硬化は進んでいなかったが、将来も虚血性心疾患が増加しないと結論することはできない。特に最近増加している肥満と糖尿病による動脈硬化の進展には注意が必要である。今後は、1)インスリン抵抗性をはじめとした新しい危険因子の調査すること、2)韓国など他のアジア人の集団を加えること、3)日本でも新たに年齢層を拡げて調査を継続することを検討している。
【研究代表者】