ヘテロクロマチン由来RNAがもたらす複雑系攪乱による発癌機構解明と病態検出法開発
【研究分野】複雑系疾病論
【研究キーワード】
複雑系 / ヘテロクロマチン / RNA / 反復配列RNA / 膵癌 / 癌化 / 反復配列 / 核酸 / 癌 / トランスレーショナルリサーチ
【研究成果の概要】
膵癌早期からヘテロクロマチン領域から反復配列をもつRNAが発現してくることに着目し、その生物学的意義を検討した。反復配列RNAの過剰発現は、YBX1蛋白との結合を介して、DNA損傷の蓄積や染色体分裂異常を惹起し、それにより癌化のポテンシャルを上げていることが示された。さらに反復配列RNAを高感度に血中から検出することで、膵癌早期診断マーカーとして有用であることが示唆された。さらに特殊な非コードRNAとして 膵癌特異的な環状RNAを同定し全長配列を決定したうえでその組織内発現を確認し、今後の複雑系の解析次第では、新規の膵癌マーカーとして有用になる可能性が考えられた
【研究の社会的意義】
膵癌は予後の悪いがんの筆頭ともいえるが、それは 発癌メカニズムが不明である点と、早期発見がしにくい点が 理由として挙げられる。膵癌早期から、通常では発現していない一定の配列の繰り返しを持つ特殊なRNAが発現してくることが分かっている。本研究によって、この反復配列RNAの発現が複雑な系を介して細胞の遺伝子異常を惹起し、癌化に絡んでいることが判明した。今後 反復配列RNAの血中での検出による膵癌早期発見への応用や、このRNAを標的とした新規治療法の開発がのぞまれる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
前田 愼 | 横浜市立大学 | 医学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
伊地知 秀明 | 東京大学 | 医学部附属病院 | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2016-07-19 - 2019-03-31
【配分額】18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)