骨粗鬆症に関する基礎的研究-食生活要因と骨塩量との関係
【研究分野】公衆衛生学・健康科学
【研究キーワード】
骨塩量 / 食生活 / 骨粗鬆症 / 重回帰分析 / 栄養調査 / 多変量解析 / 健康と生活習慣調査 / 食品摂取頻度 / 栄養素摂取量 / 食品群別摂取量 / 生活習慣調査
【研究成果の概要】
高齢化社会の到来に伴い、骨粗鬆症の予防が重要な課題となっている。骨粗鬆症を予防するには、加齢に伴う骨量の低下を出来る限り抑えることが重要である。そこで、骨量にどのような食生活要因が関わっているかを検討するために、和歌山県下一漁村において40〜79歳の全住民を対象に「健康と生活習慣調査」を実施した。住民のなかから、各年代別に男女50人ずつ、計400人を選びDXA法による腰椎(L2-4)骨密度を測定した。骨密度測定者の中から各年代で男女20人ずつ、計160人を選び3日間食事記録法による栄養調査を実施した。その結果、次のことが明らかになった。
1) 栄養素等摂取量と骨量との間には、有意の関連は認められなかった。
2) 食品摂取頻度及び食事状況と骨量との関係をみると、男では豚肉、豆腐の摂取頻度が高い群、塩分の多い食品を控える群、朝食に主にパンを食べる群に骨量が高かった。女では干し魚、豆腐、牛乳の摂取頻度が高い群、食事時間が規則的である群において骨量が高かった。
3) 骨量を目的変数に年齢、体格、日常生活要因を説明変数とした重回帰分析を行った結果、男女とも体重が軽いこと、食事を1日にきちんと3食とらないことが骨量低下に関係していた。さらに、男ではみそ汁摂取頻度が高いこと、女では年齢が高いこと、運動時間が少ないことが骨量低下要因として取り上げられた。
以上のことから、骨粗鬆症予防には栄養と運動を行うことによる体重減少が必要であり、栄養指導として、カルシウムを多く福も食品を多く取る一方で、塩分を控えること、食事をきちんと3食とることなど、食生活の改善が骨量の維持に重要であることが示唆された。
【研究代表者】