インドシナ半島におけるプライマリ・ヘルスケア・システムの国際比較研究
【研究キーワード】
プライマリ・ヘルスケア・システム / 医療保険制度 / インドシナ半島 / ベトナム / ラオス / カンボジア / プライマリー・ヘルスケア / 国際比較 / プライマリ・ヘルスケア / ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ / インドシナ
【研究成果の概要】
本研究は、2015年に国連で採択されたSustainable Development Goals(SDGs)の第3重要課題に設定された「健康な暮らし及び厚生の促進」に関連した研究課題に対して、既存データならびに現地調査を通して収集する独自データを用いて取り組むことを目的としている。2021年度は、ベトナム中部の3省において2014年と2017年に収集した調査データを使用し、妊産婦の検診・出産時の医療施設選択行動に関する実証分析を行っている。なかでも、妊産婦の医療施設選択行動と医療保険の指定施設との間の関係を検証し、妊産婦が村落レベルの公的第一次医療施設(CHC)を指定施設とする医療保険に加入していた場合、CHCを利用する確率が高くなる傾向にあったことを確認した。妊産婦の検診・出産時の医療サービスの受診は医療保険の加入状況に拘わらず原則無償である。したがって、保険加入者がCHCを利用する金銭的メリットは少ないにも拘わらずCHCを利用する妊産婦が増加する傾向にあったことは非常に興味深い発見である。こうした分析結果について国内学会で発表すると共に、論文としてまとめ愛知学院大学経済研究所所報として公刊した。
また、カンボジアのDemographic and Health Surveyを使った分析も行っている。カンボジアでは2009年に公的医療施設で働く医療従事者に対する報奨金制度を導入し、医療従事者の勤労意欲を改善、医療サービスの質の向上を図っている。そして、既存研究では報奨金制度導入の結果として、医療従事者が時間通りに出勤するようになるなど行動変容がみられたと報告している。そこで、本研究では、更にこうした医療サービスの供給側の変化により、疾病・疾患に罹患した人々がより公的な医療施設を利用するようになったかどうか検証を行い、その分析結果について国内学会で発表を行っている。
【研究代表者】