ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ事業のインパクト評価
【研究キーワード】
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ / 共済組合 / インパクト評価 / セネガル / ガバナンス / UHC / グローバル・ヘルス
【研究成果の概要】
本研究は日本政府・JICAが支援している、セネガル共和国のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ事業を評価することを目的としている。本研究は我が国における援助事業のあり方に重要な示唆を与える。近年、途上国を中心としてUHC達成に向けて公的医療の財源拡大が進められているが、予算を増やすことが医療支出による家計破たんの解消や健康水準の向上に繋がっているのかどうかは定かではない。すなわちUHC拡充政策が家計破たんや国民健康水準に与える効果の分析が政策上の課題となっている。
セネガル国民の8割を占めるインフォーマル・セクターは、各市町村に設置されたコミュニティ共済保険に加入することになっているが、研究開始時の加入率は1割程度にとどまる。コミュニティ共済保険組合(以後、共済保険組合)の導入課題として保険業務機能強化が挙げられる。加入者の募集とその登録、保険料徴収医療機関と契約帳簿管理の登録、医療機関からの診療報酬請求の審査・支払い等、基本的な保険手続きがすべての共済組合で機能されなければならない。
本研究ではセネガルにおいてJICAが支援対象としている三州(ティエス、ジュルベル、タンバクンダ)における共済組合のパフォーマンス、従業者数、保険加入者数、契約先医療機関数や診療報酬支払期間等の比較分析によって同国国家医療保障庁のUHC事業を評価する。2018年12月から2019年1月にかけて、三州の1700世帯を対象に世界銀行と協働して家計調査を行い、データを収集した。家計調査にかかる、調査方法の指導、実施管理のため、研究分担者が現地に赴いた。また2020年2月から3月にかけて、3名の研究者がセネガルに滞在し、セネガル国家医療保障庁及びJICAと共同で共済組合の調査(二回目)を行った。
【研究代表者】