小型単色エネルギー可変硬X線源の利用推進
【研究分野】原子力学
【研究キーワード】
電子線形加速器 / X-band / コンプトン散乱X線源 / 2色X線CT / 放射線,X線,粒子線 / 加速器 / 廃棄物処理 / 生物物理 / ナノバイオ
【研究成果の概要】
東大原子力専攻において、X-bandマルチバンチ電子線形加速器を用いた小型コンプトン散乱X線源の開発を進めてきている。本研究においては、全システムの構築と性能評価を目的とし、平成18年度ではシステム全体の構築、特にX-band熱陰極RF電子銃によるビーム生成試験と、加速管を含む全立体回路の構築、コンプトン散乱用レーザーシステムの構築を実施してきた。これまでに、X-bandクライストロンによる大電力出力試験と熱陰極RF電子銃によるビーム発生試験を実施し、ビーム発生1とその評価を定量的に行うことで、その有効性を世界で始めて実証した。これに引続き、X-band加速管とレーザー装置を含むコンプトン散乱によるX線発生に必要な体系を構築した。X-band加速管を含む立体回路の構築では、様々なトラブルを克服し、順調なパワー投入に成功した。また、RFコンディショニングを通じて得られた、コンディショニングの効率化につながる方針を示した。レーザー装置に関しては、必要な光学系を構築し、その性能評価を行う事で、電子ビーム衝突点において十分なポジション、強度、プロファイルの安定度が得られている事を定量的に示した。
平成18年度の研究で示した世界初のX-band熱陰極RF電子銃によるビーム発生の実証の達成と、加速管含む立体回路の構築の成功、及び高電界試験により得られた知見と課題点は、今後の小型高エネルギー加速器の開発にとって重要な成果であると言える。さらに、レーザー光学系の構築とビーム診断装置の開発は、今後のコンプトン散乱X線発生試験へつながる、重要な研究成果であると言える。
利用研究に関しては、2色X線CTによる_<40>Zr以下の元素に関して精度3%以下で3次元原子番号分布の同定、および経静脈血管造影につき空間分解能100mm、視野50mmx50mm、10コマ/秒で動画像する目処がたった。
【研究代表者】