標的遺伝子組換えによる頭頚部先天性疾患のモデル動物の確立と遺伝子診断法の開発
【研究分野】胎児・新生児医学
【研究キーワード】
エンドヤリン1 / ジーンターゲティング / ノックアウト・マウス / 神経堤細胞 / 発生 / 先天性疾患 / 遺伝子多型 / 遺伝子 / ジ-ソターゲティング / 神経提細胞 / ジーンターダティング / エンドセリン / 血圧調節 / 胎児発達 / 遺伝子診断 / モデル動物
【研究成果の概要】
本研究においてわれわれは、ジーンターゲティングによるET-1遺伝子欠損マウスの樹立と解析を通して、ET-1の新しい発生学的役割を明らかにし、ヒト頭頚部先天性疾患との関連について究明してきた。特に、ET-1欠損のマウスの解析において、研究計画当初に見いだされた頭頚部奇形のみならず、これと関連した心血管奇形(大血管形成不全+心室中隔欠損)が新たに見いだされ、類似するヒト先天性疾患においても頭頚部と心血管系に同様の合併奇形が極めて多いことから(CATCH22やvelo-cardio-facial症候群など)、疾患モデルとしての妥当性、有用性はさらに確立してきた。また、鰓弓や心血管系の形成に主要な役割を示す神経堤細胞の発生分化機構において、ET-1が形態形成に重要な上皮-間葉相互作用の介在因子として働いているという仮説を提示し、さらにET-1遺伝子欠損マウス胎仔のin situ hybridizationによりET-1の下流にある遺伝子の存在が明らかにされ、鰓弓や心血管発生における遺伝子間の相互作用の研究が今後の発展的課題となった。ヒト先天性疾患におけるET-1遺伝子の関与や新しい診断法の開発に関しては、ヒトET-1遺伝子構造解析において、ET-1遺伝子エクソン内に存在する遺伝子多型を見いだした。ヒト疾患とET-1遺伝子の関連を検索する上で、遺伝子多型の存在は極めて有用であり、現在Pierre-Robin・Treacher-Collins症候群、先天性心疾患などでET-1遺伝子異常の有無につき検索を進めている。さらに我々は、ET-1遺伝子プロモーター領域を用いたET-1過剰発現マウスの樹立に最近成功し、現在その病態解析を進めている。ET-1遺伝子欠損マウスとET-1過剰発現マウスを併せた総合的解析により、ET-1の病態生理的意義をさらに明らかにできることが期待される。
【研究代表者】