脳腸軸を介し脳を活性化するポリフェノールの探索
【研究キーワード】
ポリフェノール / 脳機能 / バイオアベイラビリティ / ロスマリン酸 / 体内分布 / 代謝 / 腸管 / 脳機能活性化 / モノアミン
【研究成果の概要】
経口投与後各臓器に含まれるRA, およびその代謝物であるカフェ酸(CAA), フェルラ酸(FA), クマル酸, ヒドロ-m-クマリン酸, ロスマリン酸メチル(RM)をLC-MS/MSを用いて測定した。血漿中ではRA, CAA, FAのみが検出され, RA濃度が最も高かった。脳ではRAがほとんど検出されなかった一方, CAA, FAが検出された。肝臓や腎臓ではRA, CAA, FA, RMが検出され, RMが最も高濃度に検出された。以上の結果から, RAは経口摂取後, 速やかに代謝を受け, 肝臓, 腎臓では主にRM, 脳ではCAA及びFAとして存在していることが明らかとなった。
【研究の社会的意義】
本研究によりポリフェノールの1種であるロスマリン酸の生体内における代謝、動態、および分布が明らかとなった。摂取後わずか15分で血中のみならず様々な臓器で代謝物が検出された。特に脳内で代謝物が検出されたことは、実際の生体内ではロスマリン酸は代謝物が速やかに生成し、それらが作用している可能性を示している。このことは、ロスマリン酸のみならず、体内へと吸収されにくいポリフェノールの作用機作として、代謝物を介することが重要である可能性を示しており、現在明らかにされていない食品ポリフェノールの多様な生理作用の解明、また食品として利用する際の安全性の確保に寄与することが期待できる。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2019-06-28 - 2022-03-31
【配分額】6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)