視床網様核の新規振動活動が感覚刺激時の神経応答ゆらぎに及ぼす因果的役割の解明
【研究キーワード】
視床網様核 / 光ファイバー測光装置 / カルシウム / ヒゲ刺激 / マウス / ゆらぎ / シリコンプローブ / 遺伝子改変マウス / 光ファイバー蛍光観察 / 電気生理学
【研究成果の概要】
脳神経細胞の活動応答は、同一の感覚刺激に対しても試行毎にゆらぐ。このゆらぎは情報処理の効率を低下させる「ノイズ」だと想定されている。本研究では、マウスのヒゲ刺激に対して大脳皮質神経細胞が示す応答振幅のゆらぎが「ノイズ」ではなく、申請者が発見した視床網様核(TRN)の新規集団振動活動によって能動的に生み出されている可能性を検証した。申請者は「光ファイバー蛍光測定装置」を開発し、Ca2+感受性蛍光蛋白質がTRNに発現する遺伝子改変マウスへ適用した。その結果、TRNの低周波数振動活動は大脳皮質の特定部位の揺らぎ活動と相関していることを見つけた。
【研究の社会的意義】
脳情報処理の効率を低下させると言われる神経活動応答のゆらぎを、実は脳がTRNを介して積極的に作り出しているとの仮説検証に取り組んだ。得られた結果は仮説を支持するものであり、ゆらぎを能動的に活用する新しい情報処理機構を示唆して脳理論研究への波及効果を期待できる。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2022-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)