ctDNAメチル化検出を実装する新たなアプローチによる大腸癌再発早期診断法の確立
【研究キーワード】
モニタリング / メチル化 / dPCR / 再発 / マルチターゲット / ctDNA / 大腸癌 / リキッドバイオプシー
【研究成果の概要】
転移巣を有する大腸癌患者40例の原発巣および健常大腸粘膜、術前後の経時的血漿検体および転移巣を集積した。一方、stage III大腸がんでありながら非再発であった100例の原発巣および健常大腸粘膜、術前後の経時的血漿検体も確保し、まずは血漿検体よりctDNAを抽出した。
われわれの教室では大腸がんの再発を来す機序として、マクロファージや線維芽細胞を誘導し、遠隔臓器に転移するニッチを形成するケモカインCCL2に注目していたことから、CCL2がCRCの再発を予測するバイオマーカーとなり得るかどうかを検討した。本助成で集積した検体についてCCL2プロファイルと再発との関係を調べた。その結果、術後6カ月で血漿中のCCL2濃度が有意に上昇し、根治切除後も継続的に上昇した。1年以上の再発例の術後6カ月間のCCL2濃度は、非再発例および1年未満の再発例に比べて有意に高いことを明らかにしたことから、ニッチ形成が重要であることを改めて証明した。
当初目標としていた大腸がん検出のための高頻度検出メチル化領域も予定症例について鋭意digital PCRで明らかにしているところである。全部で3領域存在し、初期の11例で検証したところ、AUC0.82と高値を示し、既存の血清CEAを凌駕していた。本研究助成をいただいたことで残りの検体分の核酸抽出試薬やdPCR用試薬を購入させていただいた。おかげで、間もなく結果が得られて、論文発表の予定である。2,3年目はオハイオ州立大学と共同研究にて解析予定であったが、共同研究を行う予定であった、Carlo Croceの研究室へ代表者が留学することとなったため、本科研を廃止することとした。
【研究代表者】