筋腱の力学的および代謝的特性を踏まえたトレーニング法およびメンテナンス法の開発
【研究キーワード】
スティッフネス / 筋 / 腱 / 筋スティッフネス / 腱ヒステリシス / 超音波 / トレーニング / 伸張ー短縮サイクル
【研究成果の概要】
(研究1)ヒラメ筋におけるアクティブ筋スティッフネスと伸張反射との関係:本研究では膝屈曲位で腓腹筋の貢献を小さくした条件で、ヒラメ筋のアクティブ筋スティッフネスの定量を試みた。その結果、腓腹筋内側頭での結果とは異なり、遅い角速度条件でのアクティブ筋スティッフネスが最も高かった。さらに、腓腹筋内側頭と同様に、ヒラメ筋においてもアクティブ筋スティッフネスは伸張反射の影響を受けないことが明らかになった。
(研究2)弛緩時間が腱ヒステリシスに及ぼす影響:腱ヒステリシスに及ぼす弛緩時間については、これまでに詳細な検討がなされていない。そこで本研究では、弛緩時間を0.3、0.5、0.7、1.0、3.0、5.0秒の6条件を設定し、腱ヒステリシスを測定した。その結果、弛緩時間が1秒以上の条件では腱ヒステリシスに差は認められなかったが、1秒未満の条件では弛緩時間が短くなるほど腱ヒステリシスが有意に大きい値を示した。従って、介入研究などで腱ヒステリシスを測定する際には、特に弛緩時間を1秒未満で設定する場合には、介入前後での弛緩時間を揃える必要があると言える。
(研究3)指圧刺激が膝蓋腱およびアキレス腱の血液循環に及ぼす影響:我々の最近の研究で、鍼刺激による血液循環変化が、アキレス腱に比べて膝蓋腱ではほとんどみられず、その要因として膝蓋腱周辺の痛み閾値がアキレス腱周辺よりも低いことが挙げられた。それを実証するために、痛みを伴わない指圧刺激による血液循環変化を両腱で比較した。その結果、指圧刺激による血液循環変化は、膝蓋腱およびアキレス腱で同程度観察され、我々の仮説を支持するものであった。さらに、アキレス腱における血液循環変化は、心拍数変化と正の相関関係が見られ、代謝亢進によるものである可能性が示唆された。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)