東アジア史上の国際関係と文化交流
【研究分野】東洋史
【研究キーワード】
東アジア史 / 国際関係 / 文化交流 / 東アジア世界 / 冊封体制 / 中華思想
【研究成果の概要】
本研究は本年度(昭和62年度)をもって2年間の継続研究を終了する. 本年度の研究実績については, 別紙の昭和62年度の研究報告書の「当該年度のまとめ」欄に記述した内容と重複する点も多いが, ここにその概要を略記する. 本研究は過去2年における各研究役割分担者の個別的研究を基礎に, 研究課題の総合的研究を推進した結果, 以下の研究成果を達成することができた. (1)朝鮮と中国の国際関係・文化交流(以下, 国際関係と文化交流を省略)の分野では, 斎藤は前漢武帝と朝鮮の郡県化, 福井は『魏志』倭人伝と『魏略』, 李は『梁職貢図』と高句麗使を対象に, それぞれ漢魏六朝時代の朝鮮と中国を中心とする東アジア史上の諸問題を検討した. (2)中央アジアと中国の分野では, まず長澤がその全体的展望を示したのち, 山本は東西ローマの地理書を通じて古代の欧亜関係の一端を摸索し, 松崎は隋唐時代のタリム盆地に興亡した諸国の歴史を究明し, 内藤は唐代における統治機関の処置をめぐる当時の国際関係を分析した. (3)北アジアと中国の分野では, 石見は唐代の蕃望, 近藤は入宋僧の入国手続, 吉田は南宋の使節の旅行記などを焦点に, 各自文献学的研究の成果をあげた. (4)東南アジアと中国の分野では, 工藤は戦国秦墓出土の竹簡, 岡安は魏晋時代の地方志, 渡部は明代の農書を主体に, 独自の論文を完成した. (5)日本と中国の分野では, 古賀は記紀と中国史料に依拠して, 両国の伝説や習俗の成立を比較吟味し, 堀は律令を主体に日中の相違を分析し, 藤家と美川はともに遺隋使, 遺唐使の国書問題に注目した古代の日唐関係, 細野は21か条をめぐる近代の日清関係を中心に, いずれも日中交渉の断面を取上げた. 以上, 各自の研究は様々の興味ある問題を喚起しており, 本研究を終了するにあたって, 近日中にこれらの論考を一書にまとめる予定である.
【研究代表者】