注意機能を利用した「こころの未病」の見える化と改善
【研究キーワード】
未病 / 注意 / 感情 / 脳神経科学 / バーチャル・リアリティ / うつ病 / 見える化 / 改善 / 認知神経科学 / 認知心理学
【研究成果の概要】
2020年度は、幸福度などの感情がどのように注意機能に影響を及ぼすかを明らかにする研究を中心に進めた。実験的に人の感情を想起させるための方法の確立を目指し、Mood Induction Procedure (MIP)の研究開発を行った。ここで想起させる感情は、ポジティブ、ネガティブ、ニュートラルとした。それぞれの感情を想起するために、文章の提示、画面の色の変化、音楽の利用、記憶の想起を融合させた方法を用いた。当初、行動実験をベースに行うことを計画していたが、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、実施できなかった。そのため、急遽オンライン化を行い、WEBによるMIPの研究開発を行った。予備的な大規模アンケートを含み、文章の確定を行い、最終的に各条件ごとに60文章、色、音楽、記憶を用いたMIPの作成に成功した。2021年度は、これらの手法とさらに進んだ方法を組み合わせることで、幸福度を含む感情を制御した上で、注意課題を行い、感情と注意機能の関係を認知心理学的、脳科学的に解明する。
注意トレーニングについては、音による注意トレーンングを20日間行った。この前後で脳波を計測したところ、左眼下野と右側頭葉のα波の低下が観測され、これらの領域の活動が活性化したことを示された。ゴーグルによるVR研究では、IT企業に務める社会人を対象として、幸福度と視覚注意探索課題を一日3回、2週間にわたり実施した。この結果、幸福度が高いときは、下視野で邪魔物のなかでのターゲットを探すことが早いことが明らかとなった。これにより、一般の人の日常において、幸福度と注意課題が影響することが明らかとなった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
満上 育久 | 広島市立大学 | 情報科学研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
NAWA Norberto・E | 国立研究開発法人情報通信研究機構 | 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター | 主任研究員 | (Kakenデータベース) |
大須 理英子 | 早稲田大学 | 人間科学学術院 | 教授 | (Kakenデータベース) |
熊野 宏昭 | 早稲田大学 | 人間科学学術院 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2019-04-01 - 2022-03-31
【配分額】46,150千円 (直接経費: 35,500千円、間接経費: 10,650千円)