トマト草勢調節因子の解析-QTLを利用した園芸作物の生理生態的特性解明の試み-
【研究分野】園芸学・造園学
【研究キーワード】
園芸学 / QTL解析 / 遺伝子 / 染色体
【研究成果の概要】
トマトにおいて過度の栄養成長は生殖成長を阻害することが知られているが,これらの現象の生理的,遺伝的背景については明らかになっていない。そこで,トマト栽培種と近縁野生種のS. pimpinellifoliumを交配したBC_1F_3世代114系統を作出し,QTL解析によって栽培季節と遺伝子の交互作用が開花時期や栄養成長に及ぼす影響について調査した。調査した形質は,開花時期,第一花房下葉数,最大葉長,腋芽数,生体重,草丈の6形質である。第1,第3染色体に開花までの日数に関するQTLが検出された。第1染色体のQTLは,最大葉長,腋芽数,生体重と同一の位置に座乗していた。一方,第3染色体のQTLは,第一花房下葉数,生体重(夏),草丈のQTLと同じ位置に座乗していた。さらに,このQTLは既に明らかにされている出芽までの日数や第3葉出現までのQTLと同じ位置に存在することが明らかになった。これらの結果から,開花日数の第1,第3染色体上のQTLはそれぞれ,葉原基の分化速度と栄養成長から生殖成長への転換時期を支配していると考えられた。
作季の違いがトマトの開花時期に影響を及ぼすことが明らかになったので,夏にBC_1F_6 105系統を30/25℃と23/18℃の条件下で20日間栽培した後,ハウスに移して開花まで栽培した。本実験では,開花までの日数に関するQTLは検出されなかった。第一花房下葉数に関するQTLが第2,3,7染色体上に検出された。これらQTLの中,第7染色体上のQTLは低温でのみ検出された。この結果は,低温が栄養成長から生殖成長への転換を早めることと一致した。高温下では花の発達が促進され,開花時期が早まることが知られているので,本研究で開花時期のQTLが検出されなかったのは花芽分化後の高温のために花芽分化に及ぼす温度の影響が遮蔽されてしまった可能性が考えられた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
根本 圭介 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
峯 洋子 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2005 - 2007
【配分額】16,390千円 (直接経費: 15,100千円、間接経費: 1,290千円)