『子供の生まれやすさ』と『感染症への罹りにくさ』をつなぐ分子メカニズム
【研究キーワード】
細胞外微粒子 / 生殖器系疾患 / 泌尿器系疾患 / 神経系疾患 / ウイルス感染 / マイクロエクソソーム / エクソソーム / CD9 / テトラスパニン / ウイルス感染制御 / 生殖・泌尿器官 / 神経疾患 / 共生細菌叢 / 神経細胞 / 感染症 / 生殖器官 / 泌尿器官 / 生殖・泌尿器疾患
【研究成果の概要】
我々の身体の内側は、粘膜上皮とよばれる湿潤な上皮におおわれ、ウイルス、細菌、花粉、微小粒子の体内への侵入から守られている。受精の研究から我々が発見したマイクロエクソソーム(microexosome)は、卵、生殖器、泌尿器を含む様々な管腔構造の粘膜上皮、グリア細胞やニューロン、視細胞から分泌される。マイクロエクソソームとエクソソームは、共通してテトラスパニンと呼ばれる膜タンパク質ファミリー(例えば、CD9、CD81、CD63)を含むものの、構造が全く異なる逆ミセル状の構造体である。我々の研究から、マイクロエクソソームは、2つの役割(細胞膜の修復とウイルスの感染抑制)を担っていることが推測される。本研究ではマイクロエクソソームを手がかりに、我々にとって身近な『子供の産まれやすさ』と『感染症への罹りにくさ』の2つの現象をつなぐ分子メカニズムの解明をめざす。本年度は、昨年度から引き続いて、中村と連携して、感染症の防御におけるCD9およびマイクロエクソソームの役割を、サイトメガロウイルスの感染制御の観点から解析した(論文投稿準備中)。また、山田と浜谷と連携して、健全な子宮内環境の維持(子宮内膜再生、共生細菌叢の維持)におけるマイクロエクソソームの臨床的な有用性について検討した(論文投稿準備中)。さらに、河野と連携して、子宮内における共生細菌叢の維持において有用である、精漿中に存在する静菌タンパク質を同定した。さらに、正常な子宮内環境の維持にラクトフェリンが有用であり、次世代の肥満を抑制する働きがあることを報告した。
【研究代表者】