代謝とエピゲノム改変によるT細胞リプログラミング法の開発
【研究キーワード】
免疫学 / 免疫記憶 / 腫瘍免疫 / サイトカイン / 代謝 / 抗腫瘍免疫 / 免疫 / アレルギー・喘息 / シグナル伝達 / T細胞 / 記憶T細 / T細胞疲弊 / メモリーT細胞 / Notchシグナル / 核内受容体 / 酸化的りん酸化 / 制御性T細胞 / PD1 / DNAメチル化 / ミトコンドリア
【研究成果の概要】
T細胞の疲弊化は腫瘍免疫の効果を減弱させるだけではなく、チェックポイント阻害療法抵抗性の原因となる。しかしT細胞疲弊化の分子機構の解明は始まったばかりである。本研究では核内受容体NR4aファミリーがCD8+T細胞の疲弊化に中心的な役割を果たすことを見出した。さらにNR4aを欠損させることで強い抗腫瘍効果が得られることを見出した。一方で疲弊化したT細胞を若いメモリーにリプログラムする方法としてCAR-Tなどの活性化したT細胞をNotchリガンドを発現するOP9細胞と共培養することにより幹細胞メモリーT(Tscm)様細胞(iTscm) に転換できることを示した。現在このメカニズムを解明しつつある。
【研究の社会的意義】
がんにおける免疫チェックポイント阻害療法はノーベル賞を受賞したこともあって大きな注目を集めている。しかし療法抵抗性の患者も多く、より強力な免疫療法の開発が望まれている。腫瘍免疫の効果を減弱させる大きな要因のひとつはがんを攻撃するT細胞疲弊化である。我々のグループは疲弊化を起こす原因遺伝子としてNR4aを発見し、さらに疲弊化したT細胞をより若いメモリー幹細胞にリプログラム方法を開発した。このメカニズムを解明できればがんの免疫療法の可能性を大きく広げることになる。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(開拓)
【研究期間】2020-04-01 - 2021-03-31
【配分額】26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)