脳腫瘍特異抗原遺伝子のクローニングと免疫遺伝子治療への応用
【研究分野】脳神経外科学
【研究キーワード】
グリオーマ / 抗原 / 遺伝子 / 血清 / HSV / vector / サイトカイン / グリオーマ抗原 / ベクター
【研究成果の概要】
悪性腫瘍は極めて治療困難な疾患であり、現在まで有効な治療法がない。そこで申請者らは新たなアプローチとして脳腫瘍に対する腫瘍抗原特異的な免疫遺伝子治療を提案した。
本研究において、新規の脳腫瘍抗原遺伝子の単離を目的としてグリオーマ患者血清を用いてautologous typingに分子生物学的手法を取り入れたSEREX (Serological indentification of antigens by recombinant expression cloning)法による解析を試みた。
初年度において、12症例のグリオーマ患者血清を用いてスクリーニングし、92個の陽性クローンを単離し、塩基配列を解析した結果、これらの抗原は52種の遺伝子をコードしていることを明らかにした。更に、これら抗原を様々な患者血清中IgGとの反応を解析し、グリオーマを含むガン患者にのみ反応する新規遺伝子KU-GB-1の全長を単離した。
次年度は同様の手法を用い、更にグリオーマ患者血清にのみ反応する新規抗原KU-GB-2を同定し、KU-GB-1とともに遺伝子全長の塩基配列を決定した。
最終年度にはグリオーマ細胞株2種および精巣組織から構築したcDNAライブラリーをグリオーマ患者血清を用いてスクリーニングし、陽性クローンを単離した後、塩基配列を決定し、新規のグリオーマ抗原としてKU-GB-3,KU-GB-4,KU-GB-5を同定し、それぞれ遺伝子全長の塩基配列を決定した。
これら新規の抗原遺伝子は精巣を除く正常組織において明らかな発現は認められなかったが、グリオーマにおける発現が認められた。
本研究により現在まで、グリオーマ患者においてIgG抗体反応を示す5種の新規抗原遺伝子が単離・同定され、今後、これらの抗原分子を用いた免疫治療への応用を進めていく。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
肥塚 靖彦 | キリンビール医薬探索研究所 | 薬理評価グループ | 主任研究員(研究職/">(Kakenデータベース) |
河瀬 斌 | 慶應義塾大学 | 医学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
河上 裕 | 慶應義塾大学 | 医学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2000 - 2002
【配分額】13,300千円 (直接経費: 13,300千円)