血液からの神経系直接誘導:エピジェネティック変異患者由来血液を用いた神経病態解析
【研究分野】小児科学
【研究キーワード】
ダイレクトリプログラミング / iN / エピゲノム / 神経疾患 / 末梢血細胞 / 直接誘導 / iPS細胞 / 神経科学 / 脳神経疾患 / 発生・分化 / 脳・神経
【研究成果の概要】
本研究から、末梢血単核球からセンダイウイルスを用いて効率よく神経細胞への分化転換をさせる技術を構築した。これまでの報告に比べて、迅速かつ生存効率の高い方法である。本法では既存法と同様にグルタミン酸作動性神経細胞が主要素として産生されてくるものの、GABA作動性や、ドパミン作動性神経細胞も産生されてくることが分かった。このことから、迅速な技術の上に、今後、分化指向性を調整することで選択的な神経サブタイプを作りだすことが可能になると考えられる。また、本培養技術で産生された細胞のキャラクターを知るためのハイコンテンツセルイメージャーや1細胞RNAシーケンスを組み合わせる技術も構築できた。
【研究の社会的意義】
本研究を通して末梢血細胞からiPS細胞を介することのない、極めて迅速な神経分化転換技術(ダイレクトリプログラミング)のプラットフォームができ、その詳細な性質も把握できるようになった。さらに、iPS細胞からの分化誘導時と導入している因子がほぼ同じであるにもかかわらず血球細胞からの分化転換ではより多岐のサブタイプの神経細胞が産生されている。これは細胞個々がもつエピジェネティック情報を完全にリプログラミングしていないことも大きな理由の一つであると予想される。そのため、これまで困難であったエピジェネティックに関与する疾患の病態評価や治療法開発に向けて、新しく機能的実験系を提唱できたと考えられる。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2017-04-01 - 2020-03-31
【配分額】4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)