デスモイド型線維腫症の病態に基づく診断、新規治療開発への学際的・国際的共同研究
【研究分野】整形外科学
【研究キーワード】
デスモイド / CTNNB1 / drug repositioning / 患者立脚型アウトカム / whole exome sequencing / ゲノムワイド関連解析 / 診療ガイドライン / 国際共同研究 / 薬剤開発 / 医療・福祉 / ゲノム / 臨床
【研究成果の概要】
(i) Apc1638N変異マウスにおいてデスモイド様腫瘍組織が発生することを確認した。次にdrug repositioning法で特定した薬剤Xを本マウスに投与して、デスモイド様組織の発症を抑制していることを明らかにした。Meflin特異的CTNNB1exon3欠損マウスを作成し、皮下にデスモイド様組織が発生することを見いだした。(ii)Pdgf-CreとCTNNB1exon3欠損マウスをかけあわせると皮下に線維芽細胞様腫瘍が発生することを見いだした。(iii)64例のデスモイドに対してwhole exome sequencingとRNA sequencingを実施し、従来から報告されているCTNNB1変異に加えてchr6コピー数の喪失が、デスモイド腫瘍形成の原因変異である可能性を示した。また、デスモイドに対する術後成績に関して、3つの遺伝子セット(IFI6、LGMN、およびCKLF)の発現が強力な予後マーカーとなることを見いだした。(iv)ゲノムワイド関連解析については24例を追加して合計98例の解析を実施した。有望な遺伝子Yについてはカットオフ以下となった。(v)drug repositioningによって特定された薬剤Xについてはモデルマウスによってデスモイド発症抑制を確認した。この結果に基づき、PMDAの事前相談、対面助言を実施した。(vi)NIHで作成されたデスモイド患者報告型のQOL評価の和訳版を完成させた。(vii)腹腔外発生デスモイド型線維腫症の診療ガイドラインを完成させて発刊した(2019年9月)。市民公開講座を2019年7月に開催して、ガイドラインや海外での臨床試験の情報を患者・家族に対して発信した。国際的デスモイド研究組織であるDTRFに参加して情報共有を行った。
【研究代表者】